愛知県三好市を実現しよう

 愛知県の西三河に三好という町がある。豊田市の西に隣接する人口5万4000人、製造品出荷額7500億円のトヨタ衛星都市のひとつだ。
 その町が市制移行を目指している。県内には三好町よりも人口の少ない市が5つもあるし、製造品出荷額なら一宮市春日井市と肩を並べている。実力から言えば、どう見ても「市」だよね。
 この三好町が市制施行にあたって大きな壁にぶち当たった。市の名前である。三好町は「三好」をそのまま使用して「三好市」としたい。そりゃそうだね。町民は「三好」に対して愛着もあるだろうし、何と言っても室町時代からある由緒ある地名である。おいそれと捨てられるものではない。
 しかし、徳島県平成の大合併三好市が出来ちまったから話は複雑になる。同じ市名を使用する場合には相手市の了解が必要となるのだ。つまり徳島県三好市がO.K.を出さなければ愛知県三好市は誕生しない。そして徳島県三好市は、合併した際に旧池田町の「池田」を市名にして「池田市」としたかったのだが、大阪府池田市に一蹴され断念したという怨念が残っている。江戸の恨みを長崎でではないが、池田市への遺恨が三好町で晴らされるというまことに詰まらぬ話になってきた。
 池田市のある大阪府と池田町のあった徳島県は隣接県だ。しかし愛知県と徳島県はずいぶん離れている。国内に三好市が二つあったってまったく問題ないじゃないか。むしろ姉妹都市提携を結んで同名であることを武器にすればいい。徳島県の最深部にある三好市にしてみればその方がお得だと思うのだが、風向きは悪い。三好市が盾としているのが、1970年に旧自治省から出た「同じ市名は避ける」という通知である。旧自治省を引きずっている総務省はこれに同調しているから話はますます難しくなった。でもね、たかが40年前に出された通知である。通知って要するにお知らせってことでしかない。そんな大昔の木っ端官僚が出した連絡文書などにとらわれる必要などないって。5万4000人の三好町民の愛着や利便性の方が遥かに重要だ。もう自治省などというお役所もないわけだし、こんな詰まらぬ枷に引っ掛かって三好町百年の大計を誤ってはいけませんぞ。県知事や県内の自治体も連携して愛知県の「三好市」を実現しようではないか。
 三好町の皆さんは「三好」の名を諦めてはいけない!