古いパイプ

 34歳の若さで、日比谷高校、東京大学、外務省という順調なキャリア人生を捨てて衆議院議員に立候補した。「古いパイプは水がもる」と初陣の選挙で必死に呼びかけて、その若者は初当選を果たす。その年は田中角栄日中国交正常化を行った昭和47年である。
 山形2区から国会にやってきた若き2世議員は公家集団と揶揄される宏池会に所属した。大平正芳鈴木善幸宮沢喜一に仕え、ようやく派閥の領袖になったと思ったら、その公家のような決断力のなさから「加藤の乱」で男を下げ、その後、下ネタがらみのスキャンダルで議員辞職してしまう。古くなったパイプからお漏らししていたようだね、紘一くん。
 来年、古稀を迎える加藤紘一衆議院議員、ここにきて古いパイプが炸裂している。7日夜のBS番組で、当時の小泉首相、安倍官房副長官が必死の思いで取り返した5人の拉致被害者について「北朝鮮に返すべきだった。そこで返していれば『じゃあまた来てください』と何度も何度も交流していたと思う」と発言した。蓮池さんご夫妻、地本さんご夫妻、曽我ひとみさんを最初の段階で地獄に突き戻せと、この元中国担当外交官は言っているのだ。そして、5人を返さなかった安倍さんに対して「そこが外交感覚の差だ」って、お前、本当に呆けちまったのか?泣き加藤といい山タフ(山崎拓衆議院議員)といい、北朝鮮対話重視派(北朝鮮利権重視派とも言う)はなりふり構わなくなってきた。一時期はYKKなどともてはやされたけれども、小泉さんが袂を分ってくれたお蔭で、こんなまがい物を首相に戴かなくて幸いだった。
 あちこちで加藤発言への批判が出るだろう。だからあんまり書きたくなかったけれど、こういうことには一人でも多くの人間が声を上げておくことで、バカを追い詰めることができればと思った次第である。こんな古パイプやエロパイプには一刻も早く国会議員を辞めてもらおうじゃないか。