「THE LONGEST DAY」の翌朝

 長い対策会議は午後10時ごろに一応の決着をみた。留年、大学院、インターンシップ、秋採用、メーカーの合同説明会……いろいろな可能性を検討し、若干、落ちこんでいる長男を励まし、考えの甘さについては厳しく指摘した。
 久しぶりに内容の濃い時間を息子と共有することができた。いやいや、久しぶりどころか、始めてのことかもしれない。
 この激論で、ぼけていた就職に対する心構えが具体的になってきた。漠然とモラトリアムを欲していたが、それも諦めがついたようだ。親のほうも就職活動の現実を知ることができた。もっと早くわかっていれば、より的確なアドバイスができたのではないかと少し悔いている。
 長男は午前6時台の新幹線で東京に戻ることにした。今日の午後に就職エントリーシート締め切りの会社があるからだ。春採用で内定がもらえず就活が停頓していた。しかし、少しやる気が戻ったように見える。
 寅さんシリーズ46作で、就職活動で悩む満男を気遣うさくら夫婦が描かれていた。当時は「大変だなぁ」と他人事だったが、今は当事者である。寅おじさんがいない分、さくら夫婦よりも大変かもしれない。なんとか早く決まってくれるといいなぁ。胃が痛くなってきたわい。
 おっと、そろそろ長男を駅まで送る時間になった。昨日は大荒れの天候だったが、今朝は朝日が射し込んでいる。息子の今後の道程にも日が射してくれるといいのだが……