夢の匂い

 夕べ、夢を見た。昭和の我が家の居間に炬燵が出ている。冬だろう。その炬燵に2歳くらいの時の長男がもぐりこんでいる。頬擦りをすると、甘い乳の匂いがした。

 なぜそんな夢を見たかというと、昨日の宴会で一緒に飲んだのが息子と同じ年の若者だったからだと思う。若者は3人、ちょいとわけありの3人で、1週間ばかりワシャの町へ遊びに来ている。宴会はその歓迎会だった。
 宴会も面白くてね、ちょうど昭和初期の……そうそう、五社英雄監督の「陽暉楼」を思い浮かべてもらえばいい。丸窓の大広間にレトロな照明が下がっている。芸者衆が三味線に合わせて総踊りを披露している。東京から来た3人の若者が床の間を背に緊張した面持ちで盃を持ち、下座に地元のオヤジたちが赤ら顔で居並んでいるのだった。

 そんなわけでワシャは今日も二日酔いなのじゃ。やれやれ。