フクシア

 先日、三重県長島町にある「なばなの里」に行ってきた。まったく草花に興味のないワシャだが、それでも美しく咲き誇る春の花々を見れば、それなりに楽しかったですぞ。
 仲間と別れて園内をぶらぶらと歩いているとベゴニアガーデンという大きな温室の入口の前に出た。暇なのでそこに入ったのじゃ。ここは巨大な温室3つとそれらをつなぐ回廊で形成されていた。
 最初に入った巨大な温室は大ぶりなベゴニアで埋め尽くされている。オバさん連中は喚声を上げていたが、ワシャにはけばけばしい七夕飾りを見るようで、ほとんど素通りして、次の温室に行った。
 そこは、最初の温室の押しつけがましさとはうって変わって所々に草花が配置されているだけの上品な空間だった。人の顔ほどもあるベゴニアと違い小さな可憐な花が並んでいる。
 それでも花に興味なんかないんで、長い回廊を脇目もふらずに突き抜けようとするワシャの視界の端をなにかがふっと過るではあ〜りませんか。
「なんじゃ?」
 ワシャは立ち止まってそのモノの確認をするとワシャの肩先に純白のウエディングドレスを着た小さな妖精が乗っていた。
「えええ!」
 この時の驚きは筆舌に尽くし難い。ワシャは元々幽霊とか妖怪とか妖精などというものは信じない。それが……数cmほどの可愛いお嬢さんが、ワシャの肩の上で遊んでいるのだ。これが驚かずにいられますか!ウエディングドレスの妖精は跳ねて中空に舞った。ワシャはその光跡を追って愕然とした。ワシャの周囲で無数の妖精が群舞しているのである。

 フクシアだった。
http://www.interq.or.jp/green/hananoya/fukusia/ana.htm
http://www.interq.or.jp/green/hananoya/fukusia/el.htm
http://www.interq.or.jp/green/hananoya/fukusia/enwr.htm
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/fukusia.html
 写真では伝わりませんが、ホントにキュートな花でした。もう他の花などどうでもよくなって、帰る時間までワシャはずーっとここにいたのでした。