今朝のことだ。御徒町のホテルで目を覚ました。頭が痛い。夕べ、飲み過ぎたようだ。午前6時、朦朧とした気分を払おうと顔を洗った。フェイスタオルを探していて何かに手が触れた。その瞬間、何かがカランと鳴った。顔を拭いて見下ろせば、歯ブラシが便器の中に落ちていた。
9時にホテルを出た。散歩がてら上野の西郷さんに会いに行く。高村光雲作の西郷どんを見上げ、彰義隊の墓に参り、ふと見れば、コーヒーの自動販売機が目に入った。
「コーヒーが飲みたい」と唐突に思った。小銭を入れて、ボタンを押すと、コーヒーの馥郁たる香りが漂う。
紙コップのホットコーヒーを手に、近くのベンチに向かう。ベンチに座る直前、手から紙コップが落ちた。紙コップはベンチに当たって中身が飛び散り、ワシャのコートとズボンと靴はコーヒー浸しになり、香ばしい香りを身にまとうコーヒーマンに変身したのじゃ。
なんだか調子の悪い一日のスタートだった。(つづく)