MRI体験(続き)

 MRI機から飛び出しているベッドに横たわった。頭をガッチリと固定されて、膝の下には固めのクッションをかまされた。左手にスポンジのような非常用のベルを握らされた。
「何か以上があったらこれを強く握ってください」と検査員が言う。
 その後、ヘッドフォンを装着され穴の中に頭から突っ込んでいく。穴は狭い。鼻先10センチほどに天井がある。左右も肩が当たりそうなくらい近い。これでは閉所恐怖症の人には耐えられまい。ヘッドフォンから心地よいクラシックが流れている。これなら眠れそうだ。
 検査が始まった。
「プシュー、チュー、プシュー、チュー、プシュー、チュー、プシュー、チュー……」というエアを吐き出すような音が最初から最後まで続いた。この音は機械の外から聞こえてくる。それに重なって、「ブオー、トン、ブオー、トン、ブオー、トン、ブオー、トン……」という音が始まった。この音は穴の中から聞こえてくる。かなり大きな音でヘッドフォンの音楽はほとんど聞き取れない。法螺貝と木魚の連続音と思ってもらえばいい。「ブオー、トン」が終わると「ダダダダダダダダダダダダダダ……」機関銃の連射をするような音になる。その次が「ダンダンダンダンダンダンダン……」と床を踏み鳴らすような音。最後は「ビィー、ビィー、ビィー、ビィー、ビィー……」というブザーの音になった。
 その間、穴の中には強力な磁場が発生する。といっても何も変化はない。ただ説明書を読むと、刺青が焼けてしまうことがあるのだそうだ。唐獅子牡丹を彫ってなくてよかった。
 正味20分、あまりの大音響に眠るどころの騒ぎではない。全ての音が止んで、ヘッドフォンの音楽が戻ってきた。「終わりました」という検査員の声が足下でして、ベッドが動き出した。穴の中からワシャは生還することができた。今日の体験、しめて5,390円也。

 今日、朝一番で東京に出掛ける。来週、社員向けの防災の研修をするので、その取材といった意味もある。浅草、本所、深川といった関東大震災で被害の多かったところを回ってきたいと思っている。
 てなことで、行ってめえりやす。