梅原猛

 昨日の日曜日も忙しかったわい。
 午前中は200人ほどを相手に地域の公民館で防災の話をした。スクリーンからプロジェクター、スピーカーにパソコンまで持ちこんでの防災講演だから大仕事だ。
 昨日12月9日は「漱石忌」だったので、漱石の作品に出てくる地震の話を枕にしてつかみはO.K.あとは図や写真のスライドを見せたり、紙芝居をやったりして、1時間半、最後のスライドで寺田寅彦を登場させて「天災は忘れた頃にやってくる」と言わせ、「今やもうその言葉は通じない。新潟県中越では、忘れる前に再び大地震に襲われた。だからみんなも注意してね」で締めくくった。
 質問コーナーで盛り上がって、終了したのは12時30分。大急ぎで後片付けをした。昼食もそこそこに碧南市芸術文化ホールに車を走らせた。
 実はこの三河の田舎町に哲学者の梅原猛がやってきて、講演を行う。演題は「怨霊の思想」である。これは外せない。
 こういう時に限って道路は工事中ばかりで渋滞しているし、ホールについても駐車場がないのでうろうろしたりで、結局、会場に入ったのは開演5分前だった。でも、友達のパセリ君が席をとってくれていたのでいい席で拝聴することができたのだった。ただ、パセリ君は席取りに精力を使い果たしたのか、講演中はぐっすりと寝ていたようだ。
 それにしても梅原猛、「あ〜」とか「う〜」とか「え〜へろへろへろ」とか言いながら1時間30分を話しきった。内容はさしてない。「聖徳太子は怨霊だ。忠臣蔵も怨霊の話だ。田中角栄も怨霊になった。中曽根は怨霊の鎮魂のために子飼いの後藤田を登用して祟りを免れた」というような話だった。
 でもね、やっぱり現在第一等の知識人の話は刺激がありましたぞ。お蔭で『隠された十字架』(新潮社)や『大鏡』(新潮日本古典集成)が読みたくなってしまった。これでまた、『カラ兄弟』を読む時間が減っていく。やれやれ。