時代の進捗は速い

 金曜日に名古屋で災害情報に関するセミナーがあった。NHKの子会社が愛知、岐阜、三重、長野の防災関係者を集めて開催するという。セミナーのカラーチラシも仰々しい。講師陣も現在考えられる最高の布陣だという触れ込みだから、ハイレベルな内容を期待してしまいましたぞ。
 内容はNHKの子会社が開発した「安否参集確認システム」のPRだった。要するに、「携帯メールを利用した安否確認、参集指示を始めたので皆さん入ってください」ということだ。でもね、ワシャの地元ではすでに2年半も前からNPOが、同様のヤービス提供をしている。うちの町ではよれよれの町内会長でもそのシステムを知ってまっせ。今頃そんなことをNHKではやっているのか……ある意味で驚かされた。
 当代随一と司会者が持ち上げた講師陣の講義もぱっとしない。参加者のレベルをかなり低めに想定しているのだろう。災害情報について周知のことばかりだった。きっと防災のことをあまり知らない地域のおばちゃんたちを集めてする講義ならそれでいいんだろうが、少なくとも日々防災について情報収集し、そのことばかり考えている防災部局の人間をわざわざ集めてする話ではなかった。NHKというのはその程度の認識しかないのだろうか。
 講師の先生が災害情報の奥義として披露したのが「緊急情報の予定稿を平常時に用意しておく」、「一斉伝達の手段・ルートを用意しておく」、「情報伝達の多ルート化を確保しておく」だった。
 これは防災のいろはだ。これを導入、あるいは検討していない防災関連の組織があれば、その組織は落第と言っていい。これが講義の肝だと言うならワシャらもずいぶんと舐められたものだ。
 また講師陣がこぞって愛知博での地域情報戦略を持ち上げていたので、愛知博嫌いのワシャとしては吐き気がしてきた。遠方から愛知博を訪れた一見さんの家族は人気パビリオンにまったく入れずに帰らざるをえなかった。その程度の情報管理を未だに引きずってもてはやしているようではダメだね。