伊勢路のさびれ

 伊勢自動車道を津で下りて、国道23号に出ると一路南へ走る。松坂を経て道は南東になり伊勢市を目指す。この辺りから異変に気がついた。
 時間は午前11時、正午過ぎには明野航空学校の門を潜らなければいけないので、早めの昼食をとろうということになった。仮にも三重県を縦に貫く主要幹線である。レストランの1軒や2軒すぐに見つかると思っていたのだが、これが甘かった。レストランや喫茶店らしき建物は確かにある。沿線のところどころに存在はしているのだが、そのことごとくがつぶれていた。県庁所在地から10キロほどでこの有様はどうしたのだろう。トヨタ景気に沸く愛知県では考えられない。愛知のこの規格の幹線道路沿いならうるさいほど飲食店が林立している。
 結局、航空学校近くまで行って、ようやく1軒の中華料理店を見つけて入った。うどんか蕎麦でもと思っていたが、なにしろそこしかないのだから仕方ない。小ラーメンと小天津飯のセットランチを頼んだが、出てくるのは遅いし味は悪い。それでもこの辺りにこの中華料理屋しかないんでしょうな。昼頃には家族連れで満席となっていた。
 そしてもう一つ、景気のよさを計るバロメーターである外国人が見当たらない。四日市鈴鹿に行けばまた違うのだろうが、少なくとも津、松坂、伊勢で外国人を目にすることはなかった。愛知県の三河地方に来てごらんなさいよ。30〜40人程度の外国人集団を見ようと思えばどこでも簡単に見られる。駅周辺の小さな繁華街の一角はよその国になっているのじゃ。
 そういえば昨日の勝谷誠彦さんのメルマガに新宿で中国人と揉めた話が書いてあったが、愛知県でも同様のいさかいが絶えない。なにしろ街中に日本語を話せないヤツらがごまんといるんだから。
 ヤツらは高齢化の進む過疎の山村にはいないし、漁業しか産業のない離島にもいない。金が回り、利便を享受できるところにしか、ヤツらは蔓延らない。まぁ考え方なんだろうが、各種のサービスはなくとも傍若無人な外国人がいない静かな環境がいいと思う人は伊勢路がお薦めですぞ。
 外食産業が嫌いで、伊勢神宮が好きで、松阪市の郊外に大きな窯を持っている陶芸仲間がいるので、ワシャは伊勢路に住みたいと思っている。「さびれ」を憂うつもりだったのに、うらやむ話になってしまった。