どっどど どどうど

 NHKの朝ドラ「どんど晴れ」の中に、イーハトーブという喫茶店が出てきて、そこのマスターが宮沢賢治のファンということになっている。で、ドラマの中で『風の又三郎』の冒頭の一節を口にする。
「どっどど どどうど どどうど どどう」
 それが脳裏に残っていたんでしょうな。8月10日の夜の大騒ぎで、水洗トイレのフィルターからドドドとあふれる水を見て、「どっどど……」を思い出したのじゃ。
 その後、本屋によったら、山下聖美『賢治文学「呪い」の構造』(三修社)が棚にあったので購入してすぐ読了。なかなか面白かった。そうすると久しぶりに宮沢賢治が読みたくなって、『銀河鉄道の夜』、『風の又三郎』、『注文の多い料理店』、『ビジテリアン大祭』などを引っ張り出してきた。
 山下は言う。
《賢治童話において、風が吹きわたったら要注意だ。異世界が立ちあらわれ、物語の色は変わり、不思議な予感に満ち溢れていく。賢治童話における風は、まさに眠る怪しいものに、命を吹きこむ息としての役割を果たしている。》
 ホントにそうだった。
 また一連の宮崎駿のアニメとの共通点も指摘している。もちろん、宮崎駿自身が賢治を高く評価していることは有名なので、当然といえば当然なんだけどね。でも、そう認識して読み返すと、賢治童話がまた違って見えるから楽しいですぞ。