安倍首相の甘さ(つづき)

 政府広報の担当者は文章がとにかく下手だ。特集の「安倍総理の米国・中東諸国訪問」では、7ページにわたって記事が綴られている。この記事は全部で2550文字(原稿用紙6枚強)、35のセンテンスから構成されているんですな。『自己表現』(中公新書)の著者である加藤秀俊は、多くても一文50文字を目処とすることが、いい文章をつくるコツだといっている。しかし、この記事は、一文平均73文字で、長いのは1センテンス143文字と実に冗漫だ。駄文といっていい。
 また、35の文の末尾がすべて「ました。」で終わっている。いい文章にするには、漢語の動詞と口語の動詞を使い分けて、疑問・反後形・否定形と普通の肯定形の使用によって、文章のリズムをつくらなければいけない。板坂元も『考える技術・書く技術』(講談社現代新書)の中でそう言っている。広報文とはいえ、この単調さはひどい。編集者の文章への工夫がまったく感じられない。こんな広報を「政府広報」として胸を張って出せてしまうことが、この政権の空虚さを物語っているのではないか。表面ばかりを取り繕う中身のない張子の虎である。
 これが一国を代表する内閣府政府広報室の仕事だから悲しくなるね。「内閣と国民を結ぶネット・マガジン」とお題目だけは立派だがお粗末なもんだ。よっぽど市町村の広報部員の方がまともな仕事をしている。ワシャの知っている自治体だったら、この内容、この文章では、まず係長の決裁すら通らないだろう。もう少しまともな仕事をしろよ。国のお役人さん。