朝から雷

《六時頃散歩に出やうかと思つてゐると空が急に暗くなって雨が木の葉を打つ音がした。夫がまたゝく間に豪然として地上のあらゆるものを鳴らしてすさまじく振り出した。すると雷がなつた。雷より稲妻の方が烈しかつた。》
 夏目漱石の日記に雷雨の記述である。
 今朝、4時ごろに三河地方は雷を伴なう猛烈な雨に襲われた。窓を開けてヘソを出して寝ていたので、雷鳴に思わず跳ね起きたのじゃ。まぁ起きてしまったものは仕方がないので、階下に下りて、書斎(物置ともいう)でメールのチェックをする。

 お、セコ道さん
http://sekomichi.vox.com/
からメールが来ていますぞ。
 何々……「愛知県人の気質だとか、歴史、風土、特質など、他県の人にコンパクトに伝えられるようなお薦め本があったら教えてちゃぶだい」
 というご質問である。県史シリーズ『愛知県の歴史』(山川出版社)、司馬遼太郎『濃尾参州記』(朝日文芸文庫)、『図説愛知県の歴史』(河出書房新社)を薦めておいた。愛知県人気質に特化すれば、武光誠『県民性の日本地図』(文春新書)、祖父江孝男『出身県でわかる人柄の本』(同文書院)、八幡和郎『江戸300藩県別うんちく話』(講談社+α文庫)などがいいかもしれない。
 6月4日の日記に《『世界名著大事典 全8巻』(平凡社)、『随筆辞典』(東京堂出版)である。とりあえず日本の古本屋で注文しておきましたぞ。》と書いたのだが、『世界名著大事典』を頼んだ古書店からメールが来て、「ご注文ありがとうございます。誠に申し訳ありませんが、残念ながら、既に売り切れております。またのご注文をお待ち申し上げます。」と断わられてしまった。売れたらささっとリストから外しておけよ。
 だからまだワシャの座右には『随筆事典』しかない。セコ道さんは、両方とも早々にゲットしたという。その上、『字通』も入手したらしい。うむむむむ……なかなか素早いのう。
 昨日、仕事帰りにふらっと立ち寄った古書店で『漱石全集』(岩波書店)全28巻(ただし2巻欠)が安く出ていた。『世界名著大事典』が買えなかった揺り返しで、思わず買ってしまいましたがな。それで冒頭の漱石の日記とあいなったのである。めでたしめでたし。