能登半島地震 その5

中能登町
http://www.notohantou.net/map/nanao/index.html
 羽咋市から県道2号を北東に上がる。この辺りは宝達(ほうだつ)丘陵北側に広がる邑知潟(おうちがた)平野と呼ばれている一大穀倉地帯だ。この季節の風景は三河と良く似ている。ここは震度6弱と発表されたところなのだが、集落、集落をつぶさに見廻っても、被害らしい被害はない。
 町を一回りしてO氏の実家に着く。早速、家の内外の調査させてもらう。
 ううむ、ずいぶん古い木造の農家住宅である。30年ほど前に内装のリフォームをしたということだが、主体構造部は70〜80年ほど経過しているだろう。なんと基礎は束立ちである。よくぞ能登半島地震に耐えたものだ。外回りには今回の地震によると見られる被害はなかった。軒瓦が2枚ほど落ちていたが、野地板が腐っており地震との因果関係はなさそうである。
 室内も神棚は異常なかったし、部屋の隅にただ置いてあるだけの茶箪笥も大丈夫だった。
「まったく被害はないですね」
とO氏が言う。
「今でこそ雪が少なくなりましたが、私が子どもの頃は豪雪地域でしてね。そのために『建入れ直し』という鉄筋の筋交いが補強のために入れてあるんです」
 K氏は梁に突き出ているボルト・ナットを示して説明してくれた。図らずも豪雪対策が耐震補強になっていたということか。
 それにしても簡易な附属家や老朽した物置にも被害がない。中能登町は6弱と発表されているが、このあたりの被害を見る限り5弱〜5強がいいところではないだろうか。どちらにしても被害は少ないことにこしたことはない。ワシャらはO氏の実家に別れを告げて、震度6強を記録した穴水町に向かった。(つづく)