春爛漫、覚王山散歩

 昨日、友達のパセリ川くんと地下鉄に乗って覚王山に行った。友達をなぜパセリ川くんという名前にしたかというと、居酒屋のおつまみについてくるパセリを片っ端から食べてしまう人だからだ。
 そんなことはどうでもいい。問題は地下鉄を降りてから起きた。
 地下鉄覚王山駅のプラットフォームも改札もトイレもエレベータの前も階段も、老老男女であふれかえっていたのじゃ。じいちゃんばあちゃんのうねりに身を任せ、階段出口の小さな明りを目指して黙々と進む。なんだか天国への階段を登っているような心持ちになりますぞ。
 階段の途中でパセリ川くんが言った。
「転ばなきゃいいけどね」
 本当にそう思う。覚王山駅の階段は狭い。そこにお年寄りが犇めき合っている。誰かが転倒したらかなり危険な状況だ。ワシャは、上からじいちゃんが降ってきたら受けとめてやろうと密かに決意をしつつ、もみくちゃにされながらなんとか地上に出ることができた。ほっと一息ついていると、広小路通を西からけたたましいサイレンとともに救急車が走ってくる。「なんのこっちゃ?」と思っていると、ワシャの立っている歩道の横に停車するではあ〜りませんか。そしてテキパキと救急隊員はストレッチャーを降ろし、それを担ぐようにして地下階段に消えていった。老人が倒れたに違いない。雪崩になっていないことを祈ろう。それにしても、覚王山日泰寺の縁日詣でも命がけでござる。

 この日は、セコ道さんhttp://sekomichi.vox.com/
プロデュースの「散歩と雑談の大人ツアー」に参加したのじゃ。講師は、なんと、よしりんも認める本物の知識人K先生だった。よしりんはK先生を「百科事典に敵対心を持つ男」と評していたが、本当にK先生、博覧強記の人でしたぞ。
 そんなK先生の講話を拝聴しながら、老老男女で大混雑の参道を、途中、おばあさんに足を踏まれ、おじいさんに杖でしばかれながらも、めげずに山門に向かったのだった。(続く)