酒は呑んでも呑まれるな

《あの名文書きのヘミングウェーが晩年に闘牛や何かについて書いたものは、読むにたえないほどタガがゆるんでしまっている。伝記を調べてみると、もはや書く能力を失っていたものらしいが、彼の身辺近くにいた人たちは、酒の飲みすぎによるアル中症状だったと指摘している。》
 板坂元『何を書くか、どう書くか』(光文社)にこう指摘してある。天啓だった。
「そうかワシャがアホなのは、飲酒で脳細胞を破壊していたせいなのだな」
 こう気がついたワシャは「禁酒」と書いた紙を机の前に張り出して、すぐに実行に移した。
 しかし仕事柄付き合いの飲酒がけっこうあるのだ。「禁酒」していては商売にならない。仕方ないので「節酒」という字に書き換えた。これがいけなかった。適度なお酒は、やがて「適度」なんてものを、なし崩しにしてしまうんですな(泣)。

 何が言いたいかというと、昨日、名古屋の覚王山界隈をわいわいと散策したんですね。そして面白い話がメモには沢山残っているんですが、夕べ、おいしいお酒を適度にいただいたお蔭で、アホな脳がうまく働かず、目が覚めてから1時間20分考えてもまとまりがつきませんでした。下手の考え休むに似たりで、ただぼーっとしていただけのような気もします。
 というようなわけで、仕事場に行って酔いを覚ましてから「春爛漫、覚王山散歩」を書くことにするのだった。めでたしめでたし。