危機管理

「明日、視察の者が帰ってきてから対策を講じます」
 阪神・淡路大震災の当日、悪夢のような被害状況をテレビでつぶさに確認して閣議に臨んだ閣僚たちは、災害対応を何も決めずに閣議を終え、その後の記者会見で村山首相が冒頭の発言をする。
 神戸がどのような事態に直面しているのか、村山内閣には災害をイメージできる閣僚はいなかった。いや、災害の状況は上空のヘリコプターから逐一映像で報道されていたから理解はしていたのだろう。しかし、「危機管理の発想」が完全に抜け落ちていた。
 抜け落ちるわけだ。眉毛のトンちゃんを始め外務大臣河野洋平通商産業大臣橋本龍太郎運輸大臣亀井静香自治大臣野中広務ときたもんだ。この内閣ではおよそ危機管理などはできまい。その結果、6,434人の貴い命が失われた。この無防備内閣の罪は深い。無能な政治家をいただくと国民の安全は守れないわ、国益は損ねるわで大変なことになるという最悪の見本である。
 昨日から、「刈谷デンソー本社の中国人技師が、社の最高機密を含むデータ13万件を中国に持ち出した」という事件が喧しい。件の中国人、中国のミサイル開発にも携わっていたとなると、単なる産業スパイではなさそうですな。誰かが「現在、アメリカと中国は冷戦構造の中にある」と言っていたが、本当にそのくらいの認識をしておいたほうがいいのかもしれない。すでにホワイトハウス中南海の間では情報戦が始まっている。平和ボケして呑気に構えているのは、日本のお気楽企業だけだろうね。1人の優秀な諜報部員の暗躍は1個師団の軍隊の活動にも匹敵するということを忘れてはいけない。
 13億の人口を擁し、960万平方キロメートル(日本の25倍)の国土を持ち、日本を直撃できる核ミサイル180基装備している。一党独裁国家の中国に対して、あまりにもこの国は無防備ではないだろうか。
 やっぱり無能な政治家に国防を任せると、国を誤まらせ、やがて滅ぼすことになる。
「小人ほど才芸があって便利なものである。これは用いなければならない。しかしながら長官に据え、重職を授けるとかならず邦家を覆す」
と、藤田東湖も言っていますぞ。
 小さな選挙区にわずかな利権を誘導しようとやっきになっている程度の政治家に、この国の転轍機を委ねて大丈夫なんでしょうかねぇ。ワシャの警報アラームは鳴りっぱなしなんですけど……