ジンギスカン

 昨夜、実家の母から「干し柿がたくさんあるから取りにきなさい」という電話があった。ワシャは干し柿に目がないのじゃ。とくに実家からもらう干し柿は奥三河の天然モノなので美味しいんですぞ。
「すぐ行きます」と返事をして、嫁と一緒に隣町まで車を走らせた。昔は15分ほどで実家まで辿りつけたのだが、今は途中の田園地帯が開発されて街が出現したため30分以上掛かるようになってしまった。
 マンションが林立しているので、幹線道路はどこも車であふれかえり右折車のある度に渋滞を引き起こしている。車の運転が嫌い&渋滞で待たされることが大嫌いなワシャは、そんなこともあろうかと『草原からのメッセージ』と題した司馬遼太郎講演会のCDを持ってきていたのじゃ。それをかけて、司馬さんのまったりとした声を聴いていたので、全然、いらつかなかった。めでたしめでたし。
 講演の内容は、韃靼(だったん)、タタール女真(じょしん)、モンゴルなどの周辺民族の文明論だった。日本のちょんまげは女真の辮髪と同根である、という説を唱えておられたが、そこだけは「そうかなぁ?」と思ってしまった。それならイエズス会のカッパ頭も同根ということなのだろうか。
 そして司馬さんの話はジンギスカンの世界帝国の話にも波及する。脳裏に広大な草の平原が浮かぶ。行きたいなぁモンゴルに……
 その時である。助手席の嫁が急に「ジン、ジン、ジンギスカーン」と歌い出したので面食らった。ウ、ハ、ウ、ハ……