馬琴の日

 再来週、地震防災の講演を頼まれていて、その下準備をしなければいけないのだけれど、今日は「滝沢馬琴の日」なので、朝から『南総里見八犬伝』を出してきて読んでいる。なんで「滝沢馬琴の日」かというと、実は天保13年(1842)の8月20日に足掛け28年もかかった大長編小説が完成したのである。だから馬琴を尊敬しているワシャはこの日を「滝沢馬琴の日」と決めて、原稿料で生活できるようになった最初の作家の偉業を偲ぶことにしているのじゃ。
 それにしても『南総里見八犬伝』は面白い。ストーリーはNHKの人形劇でも有名になったが、安房国の大名里見家のために八犬士が大活躍をする物語で、怪奇、殺人、復讐、ロマンス、友情などなどがフルーツバスケットのように盛り沢山で、楽しい読物になっているんですぞ。
 第七輯巻之七(岩波文庫黄224−4)を読んでいた。八犬士の一人、犬田小文吾が犬坂毛野に会うため日本各地を回っているのだが、北陸路に入って亀石屋次団太という旅篭の主人と知り合う。小文吾が旅立つ日に次団太はしきりに押し止めて「当国古志郡二十村には、毎年三四月の比、或が丑の日、或は寅の日、吉辰を卜定て角突と倡たる、闘牛の神事あり(とうこくこしのこおりにじゅうむらには、としごとのさんしがつのころ、あるいはうしのひ、あるいはとらのひの、よきひがらをえらみさだめて、つのつきととなえたる、うしあわせのしんじあり)」と言う。
 要するに、「山古志名物の闘牛があるから見ていきなさいよ」ということなのだ。

「わっ!」

 仕事のことを思い出してしまった。選りに選って山古志の地名の出てくる第4巻を手にとってしまうとは、お釈迦様でも気がつくめぇ。
 今度の講演は「山古志の地震報告」もあるのじゃ。早くまとめなければ気が気ではない。駄目だ。頭が仕事モードに戻ってしまったわい。仕方がないので、取り敢えず『南総里見八犬伝』は脇に置いといて、『新潟県中越地震1年の記録』(新潟日報社)、『ドキュメント新潟県中越地震』(イカロス出版)、『震度7新潟県中越地震を忘れない』(ポプラ社)、『中越地震』(ぎょうせい)などなどに目を通すことにする。日曜日だというのに。トホホ