台風7号

 こんな台風は見たことがない。8日未明から東海沖に居座り続け、9日午前3時現在も浜松の沖合いに漂っている。ワシャの住む町は西三河南部という気象予報区に入っているのだが、台風7号強風域に昨日から入っているにも関わらず、警報は出ず、雨も降らず、風も吹かなかった。今(午前4時)も強風域に入っているのだが、ワシャの書斎(物置ともいう)周辺は、湖畔の森の陰のように静かなのだ。もちろんカッコーは鳴いていない。これが東海沖に(規模はどうあれ)台風が停滞している状況なのだろうか。2年前の18号台風のときは、中心が長崎市あたりにあるにも関わらず、愛知県で警報が発令されたほどである。規模の差はあるにしろ、7号は目と鼻の先にいるのだ。それなのにこの静けさはどうしたんでしょうね。ワシャは警報が出ると深夜だろうと早朝だろうと会社に行かなければならない。だから夕べはびくびくしながらまんじりともせずに一夜を明かした。

 8月の台風の典型は、ミクロネシア海域で発生し、その後、西進しながら成長を続け、フィリピンの東海上で方向を北に変えると、南西諸島をなめるようにして本土に接近するというのが特徴である。7月9月のコースも東西にぶれるけれども、概ね大きな逆「つ」の字を描く。
 それが今度の7号台風ときたら、小笠原諸島海上の日本列島の目と鼻の先で発生した。ほぼ日本の排他的経済水域内だ。そこで生まれて、小さな逆「つ」の字を歩くような速度で進んでいる。8月の台風としては、日本生まれで極端に足が遅いというのは稀少な例と言える。

 昨日の夕刻のことだ。空一面を覆う雲がが黄色に染まった。あんな空をワシャは今まで見たことがない。不気味で異様な光景だった。

 気象が狂いはじめているという天の警告のような気がしてならない。