鈴木先生

 ライターのユッキィさんに誘ってもらって、作家の鈴木輝一郎さんが講師を務める「文章講座」に参加していた。1年半続いた講座で、ワシャはその最後にちょこっとだけ(4ヶ月)お仲間に入れてもらった。都合8回、鈴木先生の講義を聴いたわけだが、とても参考になるいい講座でしたぞ。
 鈴木先生のスタンスとして、基本的に受講生の作品を腐さない。どこかしらいい部分を見つけては褒める。褒めて、長所を伸ばそうとしている。自己中でわがまま者の多い作家の中では稀有な存在ではないだろうか。
 この講座は今回(3月18日)をもって最終回となる。受講生の中には存続を強く望む声もあったが、先生の意思は固かった。
「作家は文章を書いてナンボという世界、講師をやっていると『先生、先生』と持ち上げられ居心地はいいのだが、指導が負担となり書くほうが疎かになってしまう。だから区切りをつけることにした」とのこと、仰るとおりですな。先生は直木賞を狙っているので、素人に小説のノウハウを伝授しているよりも、まず執筆をということでしょう。
 それにどこかの作家が「素人の下手な文章ばかり読んでいると下手が伝染する」って言っていた。もちろん鈴木先生はそんなことを絶対に言われないが、講座が作家としてのクオリティを高める時間を割いていたことは確かだろう。
 やっぱり鈴木先生には直木賞をめざして作家としてがんばってもらったほうが、『めんどうみてあげるね』で大爆笑をした一読者としてはうれしい。

 鈴木先生の著書『何がなんでも作家になりたい!』の巻末にこうある。
《いずれにせよ、本書を読んだそこのあなたと、どこかの新人賞のパーティでお会いできる日を、楽しみにしています。必ず来ます。投げ出さなければ。》
 かくのとおり鈴木先生はいい先生なのだ。