選挙点描 その2

 さて、この動きの中で国民審査に費やされる時間はどの程度あるのかを検証してみた。要するに「国民審査の投票用紙をもらう」から「国民審査の投票缶に投入する」までの時間である。ただこの行為は比例の投票と同時処理をされており、どの部分が国民審査のために費やされた時間なのかを特定できない。しかたがないので「比例の投票用紙をもらう」から「国民審査の投票缶に投入する」までの時間を按分することにした。その結果、32秒という時間がはじき出された。そうこれがあの悪名高い「国民審査」に国民一人当たりが費やす時間なのである。現時点では国民審査の投票数が分からないので何とも言えないが、全有権者1億335万人の67.5%が32秒ずつ費やしたとして、33億720万秒が無駄に消えたことになる。104年にもなる時間を国民全体で浪費したのである。それに投票所で国民審査の用紙を交付する人だってタダじゃないんだ。全国に5万3000箇所の投票所があるが、これら全てに国民審査の投票用紙を手渡す人がいる。時給1000円で考えてごらんなさいよ、それだけで6億9000万円になるんですぞ。それだけじゃない。全国の開票所には国民審査の票を集計する人間が、市町村数2300かける何十人かは間違いなく存在する。これらにも人件費はかかるわけだし、投票用紙だって1億枚も作ったんだよ。国民審査関連の張り紙やらそれ用の掲示場などを換算すれば、どれだけの巨費がこの虚構儀式に費やされているのか想像するのが空恐ろしいわい。こんな無駄を放っておいていいのか。全国で何千万もの人々が疑問を抱きつつも「制度だから・・・」と自分をなだめつつ投票をしたかわかっているのか。
 この一事をとっても国の官僚がバカだということがよく解るよね。旧態依然、古色蒼然、前例踏襲、判例主義・・・いいかげんにしてくれ。