酔ったおっさん吠えた

 これほど品性のない元総理大臣がいるだろうか。己をさらけ出している分、かわいいといえばかわいいのだが、歴代総理の中でも際立っている。この程度の人物しか戴くことのできなかった国民というのも悲劇と言えば、悲劇だ。
 とにかく森さん、面白すぎる。田舎の市議会にならこの手の政治屋はごまんといるのだが、国政では稀少価値だろう。
「側溝の蓋を2枚ちょうだいって、議員のわしが言っとるだがね、市長もわしの顔を立てとかんと、後でどうなっても知らんよ」
「市長もケチだでいかんわ。わしが市長室に顔出しとるのに、ういろうしか出さんでいかんわ、ういろばっかり5本も食ったら気持ち悪くなるでいかんわ」
「側溝の蓋をくれんかったら、市会派の長を辞任したるでよ、なめとったらあかんぎゃぁ」
「うそうそ、会派の長を辞めるというのは冗談だがね。そんなこと信じてまってはいかんぎゃ、許してちょ」
 どこぞの役場で喚いている痴呆議員と言っていることが大差ないではないか。
 酔眼で、ビールの空き缶を手にインタビューを受ける狸面の迷政治屋は、まあ、ペラペラペラペラよくくっちゃべる。この人、正直な人なんだろうが、石川県の田舎で町の有力者の子どもという恵まれた環境に生まれて自分を誤解してしまったんだろうね。市会議員か町会議員なら、「豪放磊落で面白い先生だ」くらいの評価はされたものを、なにをとち狂ったか国政に出てしまうとはねえ、ある意味で運が悪かった。
 あとは早く引退して晩節を汚さないことを祈るばかりだ。