攻防(後編)

 そして会議の日となる。(つまり昨日になったのね)
 企画部門のお偉方が居並ぶ中、事業課の班長クラスが数人小さくなって座っている。前日の企画チーフは得々と事業について説明をしている。そして最後にこう言った。
「このプロジェクトはこの事業に精通しているワシャ班長のところが中心になって計画してもらいたい」
 あ〜あ、計画部門の企画が事業課に仕事を押し付けちゃった。トホホホホ・・・
「チーフ!」
 班長のひとりの手が挙がった。これで手締めと思っていた企画部門のメンバーの顔が曇った。
「なんだ(いまさら)」
 企画部のチーフが怪訝そうにその班長を睨んだ。
 その班長、毅然と起立すると堂々とこう言った。
「新規事業の計画立案はやっぱり企画の業務ではないでしょうか、全社的に指揮命令権を持たないセクションにこの業務を担わせるというのは無理があると考えます。」
 その発言に他の班長も続いた。
「そうだよ、計画をさせるために優秀な社員を多数配置してあるんじゃないのか」
「権限を与えずに責任だけ取れというのはどうかと思うよね」
「ワシャ班長を含め我々関係部門の社員はプロジェクトのメンバーとして関るのがいいよね。音頭は企画がとってよ」
 会議はひっくり返った。事業の担当は企画のチーフで決まったのである。やっこさん、部下のワシャに一方的に通告をしたことで満足してしまったんだね。ウサギさんが寝ている間に、亀さんは一所懸命にコンセンサス形成のために走りまわっていたのだよ。フフフフフ
 こんな甘いやつが企画で大丈夫かいな・・・