気配りのできる人、できぬ店

 昨日、珍しい方の訪問をうけた。
 戦国時代まで遡るが、徳川家康の幕下に石川重之という武将がいた。幼少より家康に仕え、大阪夏の陣で軍令を破って抜け駆けし、叱責を受けて家康のもとを去った。その後、京都に出て妙心寺に潜居し漢詩人、儒学者、書家として大成をする。京都洛北の詩仙堂をつくった石川丈山という名のほうが、通りがいいのかもしれない。
 丈山から数えて31代目の御当主が古都奈良にご健在で、縁あってご交誼をいただいている。
 午後、受付から「お客様です」と連絡が入り玄関ロビーに行ってみると、背筋のピンと伸びた白髪の老紳士が日に焼けた顔で笑って立っておられた。「所用で近くまで来たので、ついでに寄った」そうだ。何が楽しいのかは分からないが、若造を相手に丈山関連の話を20分ほどして、「また奈良で飲みましょう」と言い残され風のように去っていかれた。彼が座っていたところにはさりげなく聖護院八橋の菓子折が置いてあった。
 若造に会うのに、まず電話でアポを取り、訪問も職場まで顔を出さずロビーで待ち、若造の時間を拘束してはいけないと20分で切り上げ、駅まで送るという申し出を固辞し、その上、嵩張る手土産まで持参しているとは・・・折り目のついたような対応に武士(さむらい)を見た。
 このところ無神経で不躾な相手とばかり交渉をしていたので、心和むひとときだった。まだ「人物」は居るんだなと思いましたぞ。(八橋をもらったから言うわけではないですが・・・)

 さて、昨日予告した刈谷駅前の白木屋のことである。読書会の後、リーズナブルなので時々仲間と立ち寄る。もともと安っぽい店なので期待はしていないが、一昨日はひどかったなぁ。まず「焼き鳥の盛り合わせ」が1本少なくなっていた。それもワシャの好きな手羽先が減っている。それから「焼きそば」の味が落ちた。こくがなくなりやたらとケチャップの味ばかりがする。突出しの「枝豆」がいただけない。このところ2度ばかり突出しが「枝豆」だ。ビールを飲むから「枝豆」でいいのだが、茹でがあまいので実が固く塩味もしみていない。店長の段取りも悪い。店内はがらがらなんだが、4人連れを狭い席に押し込め、後から来たカップルを広い席に案内している。(アホか?)店員の愛想も悪いし、片つけをしている店員のしぐさがいかにも雑だ。味とサービスが著しく低下している。経営方針が不味いのか、あるいは店長に気配りがないのか。飲食店がこうなってくると早晩つぶれるだろう。次の読書会の後は別の店にしようっと。