危機一髪

 自慢ではないが(自慢だが)ワシャはダイエットに自信を持っている。必要に迫られれば5〜6キロは体重の増減は簡単にできる。できるけれど普段は必要がないのでやらない。
 今月初めのことである。衣替えで久々に夏物のズボンをはいたところ、ううう・・・ウエストがきつい。「こ・これは!」小腹がせり出している。このところ適当に飲んで食っているのが祟ったか。体重計に乗ってみると、「・・・」ベスト体重を4キロもオーバーしている。すぐに「緊急事態宣言」が発令されすべての間食がワシャから遠ざけられ、ダイエットモードに切り替えられた。
 そこで重要な作業がある。ワシャ専用のダイエット食を作らなければいけないのだ。これをダイエット雑炊と呼んでいるのだが、どれだけ食べても太らないという究極のメニューなのである。
《材料》
キャベツ(ざくざく切り)    適当
大根(たんざく切り)     適当
キュウリ(スライス)      1本
糸こんにゃく(チョップ)   一袋
ご飯   ご飯茶碗に軽く1/2杯
塩               適量
醤油              適量
永谷園お茶漬け海苔    一袋
日本酒             少々
固形スープ          1個
ネギ(みじん切り)      少々
七味              少々

 以上を大鍋いっぱいに作って一日一食をこれに代えて食するのである。そうすればあ〜ら不思議突き出たお腹はみるみる引っ込んでくるのであ〜る。
 この方法は確かに効果がある。けれどもけっこう時間がかかる。これに加えてある方法を採り入れるともっと効果的なのだが、それは企業秘密なので言えない。
 で、先日、キッチンでこのダイエット雑炊を弱火でことことと煮こんでいた。煮こむのに時間が掛かるので、自室で本(藤木久志著「雑兵たちの戦場」朝日新聞社)を読み出したのだが、これが面白かった。これがいけなかった。ぷ〜んと香ばしい匂いが漂ってくる。その内にキッチンでかみさんの「×△■@☆☆!!!」という悲鳴が響き、あわててかけつけると、ワシャの自慢の雑炊はお焦げ雑炊になってしまった。すっかり鍋を火に掛けたことを失念してしまった。あやうく小火(ぼや)を出すところだったわい。剣呑剣呑。
 当分、このお焦げ味の雑炊を食べつづけなければならなくなった。トホホ・・・