消防団のこと その1

 散歩に出た。近所の消防署からエンジン音が聞こえていたので、なにかやっているのかと回ってみた。グランドをのぞいて見ると、そこでは消防団員の皆さんが数グループに分かれて吸水ポンプのエンジンについて研修会を行っていた。消防署員がグランドに設置された黒板になにやら書いて講義をしていたり、こちらでは貯水槽に吸管をつっこんで水出しを行っている。非常時の際、的確にエンジンを始動し放水ができるように団員の皆さんは一所懸命に勉強しているのだ。日曜日だというのに本当にご苦労さんである。君たちがいるから市民は枕を高くして眠ることができるんだよね。ありがとう。
 若者のがんばっている姿を眺めるのもいいよね。そう思ったので歩道の植えこみの縁に腰をおろした。
 天気もいいし、風も心地よい。彼らだってどこかに遊びに行きたいだろうになあ、地域のために必死にがんばっているんだ。偉い!
 そう言えば消防団に関してこんな話を聞いたことがある。なにしろ面倒くさいしやたら時間を拘束されるので、なり手が少なくなってきている。で、この地域だけのやり方なのかもしれないが、同年を町内会事務所に集めその中から話し合いやくじ引きで団員を選び、団員にならなかった仲間が幾許かの金を出し合ってそれを消防団に納めるという方法がある。「義務金」とか呼んでいるようだが何十年も続いてきた風習のようなものと考えればいい。
 それが最近、出し惜しみをする若者が増えているらしい。「なんで僕がそんな意味のない金を払わなければいけないの?」とか「そんなもの消防団員の飲み食いに使われるだけじゃん」とか理屈をつけて納入を拒んでいるという。
 この姿を見なさいよ。埃や排気ガスにまみれながらも彼らは必死になって消防団の務めを果たしている。地域での役の免除金だと思ってさ、しのごの言わず気持ちよく納めればいいものを・・・
(「消防団の事 その2」に続く)