桜の樹の下で その1

 近くに公園に隣接して小学校がある。その一帯は大したことはないがわが町の桜の名所であり、先の土日は酔客で大賑わいだった。花の命は短くて・・・あれほど妍を競っていた花もすでに葉桜となり、公園と小学校を隔てる市道は桜の花びらで白くなっている。
 この週末にその市道を通りかかった。丁度、放課後で小学校側の歩道に箒やちりとりを手にした小学生らが大勢出て、清掃活動をしている。遊んでいるのか掃除をしているのかわからないような状態で、主として働いているのはやはり教師たちだった。でもね、とにかく清掃の場に居て、黙々と掃除をする教師の背中をみて、作業を続ければきれいになるんだということと、掃除をするということが周りを清々しくすることなんだということを感じてもらえればそれでいい。
 善哉善哉・・・そのほほえましい光景に背を向けるとワルシャワは午後の散歩を続けるのであった。(ワシャ爺様か?)
「先生、鳩が死んでる〜」
 女の子が声を上げた。ワシャは振り返った。その声にわらわらと周囲の子どもたちが集まってくる。「これは興味深い場面になった・・・」ワシャは近くのベンチに腰をおろすとしばしその展開を眺めることにした。
(「桜の樹の下で その2」に続く)