いつの時代も歌舞伎役者は・・・ その2

 さて、平成の世になって仲蔵の師匠筋にあたる中村勘三郎家に災難が降りかかった。
 七之助の事件である。確かに七之助は酒に酔って前後不覚になり、人に迷惑をかけた。その上、暴力までふるうというのは絶対によくないことである。
 が、あれほどマスコミが大騒ぎをして、父親まで引きずり出して謝罪をさせるほどのことだろうか、と、疑問を感じている。とくにその父親というのはこれから「勘三郎襲名」という歴史に残る大仕事を成さなければならない大切な人なのだ。たかが、といったら失礼だが、酔った男が腕を振り回して、たまたま制止しようとした警官の眼鏡にあたってしまった程度のことなのである。七之助がただの会社員の息子なら事件にならないほど些細な事件だったのだ。
 不祥事が続いている警察が、有名人の些細な瑕疵をことさら誇大にマスコミにリークしたに過ぎず、警察の売名行為にはめられたというのが事件の真相ではないか。そういった意味からは中村勘三郎家にとって災難だったということである。
 歌舞伎ファンとしては「勘三郎襲名」という大事な時期に、つまらない「もみあい」を暴露し大騒ぎにした警察に納得がいきません。
 でも21歳にもなって、自分の父親が勘九郎でありながら前後不覚になるまで酒を過ごしているバカもバカなんですけどね。