若いって恥ずかしい

 貧相な顔をした高校生が信号待ちをしていた。黒い学生服の下から白いシャツが見えている。頭髪は坊主頭、こめかみのところから三本のラインが放射状に剃りこんである。それも両側。数年前に流行した奇天烈なヘアスタイルだ。本人はカッコイイと思っているらしく車止めに足を掛けて鼻の穴を膨らませていた。三本ライン、三本毛が少ない、猿、と連想してしまい思わず「プッ」と吹き出してしまった。彼の顔を見ていて吹き出したので、何か言われるかと思ったが、貧相くんは信号が変わるとそのまま私とすれ違ってどこへともなく去っていった。
 しばらくして歩道を歩く私の横を自転車が通過した。トイレの芳香剤のような臭いが鼻についたので視線を上げると、年のころなら二十歳前後の若い女がママチャリで去ってゆく後姿があった。その姿を見て「ウワッ」と声を上げてしまった。なんとその女、今時、流行の股上の浅いジーンズを履いているのだが、尻が半分しかジーンズのなかに納まっていない。要するにケツの割れ目を公衆の面前に晒して自転車で走っているのである。私がギターザムライなら無礼打ちにするところだ。
 女は半ケツ丸だしを周囲に見せびらかしながら街角を曲がっていった。周辺の歩行者から苦笑がもれていたのは、みんなあの半ケツに気がついたからだろう。
 でもさっきの猿坊主よりもいまの半ケツ女のほうが印象として悪くないのははみだしケツがきれいだったせいだろうか。
 まぁ、どちらにしてもシャツもケツもズボンにしまっておくことだ。