役人の姑息

 国土交通省の多治見国道事務所の暇人が勤務時間中にソフトボールに興じてストレスを発散した。人事院の例外規則をつかって勤務時間内にずーっとやっていたのだそうだ。さすが国家公務員、ルールを曲解するのはお手のものなんだね。
 で、ここからがいかにも小役人らしく姑息だ。
 ルールには適合している。「レクリエーション行事は『原則』勤務時間外に行う。『ただし』会場確保が困難な場合として勤務時間中に実施できる」「特別枠として年間16時間まで有給休暇を付与する」と、どちらも糞ルールだが、それでもソフトボールに興じた連中はこのルールどおりに実施しているから何も問題はない。姑息なのは新聞社がこのことを嗅ぎつけ取材をすると慌てて試合を中止してこそこそと切り上げたことにある。ルールどおりなら堂々としていればいいものを、逃げ出せば自ら非を認めたようなものじゃないか。
 そして中部地方整備局の言い訳がまた間が抜けている。
「批判や誤解を招くのは本意ではない。これからは会場確保に努力したという証拠書類を添付させて平日実施を続けていく」のだそうだ。違うでしょ。社会一般の常識として勤務時間中に職員がこぞって有給休暇を取得し玉遊びをしているなんてことが通用するわけがない。
「今後は中止します」と答えるべきである。組織の根底が腐っている。
 でもちょっとだけ同情的なことを言えば、現在、組織の管理職の年代が丁度野球大好き世代なのである。昭和20年代後半から30年代にかけて貧しかった日本の子どもたちの娯楽は原っぱでの野球の真似事だった。この原体験を引きずっているので何かといえば「野球(ソフトボール)大会」をやりたがるのである。背景を見れば、発想が貧しいといえば貧しいし、選択肢のないところなど悲しいといえば悲しい。今後は堂々と休みの日に実施して、朝日新聞なんか見返してやればいい。誰も参加しないと思うけど。