台風報道

 各紙とも三重県に被害が広がりだした9月29日の夕刊から大きく取り上げている。
「土石流住宅数棟埋まる」「経験ない豪雨 住民恐怖」(中日夕刊)、「台風21号 大雨、民家に土石流」「猛雨」(朝日夕刊)、「台風21号 三重全域で豪雨」(毎日夕刊)
この中では朝日新聞の「猛雨」が出色である。
 30日になると大々的に報道を始める。各紙とも死者・行方不明者の数字をあげているのだが、まちまちなのが興味深い。
「三重で豪雨 2人死亡」「遅れた?避難勧告」「土石流 民家のむ」(中日)、「三重で死者2人不明9人」、「まるで湖 街沈む」、「土砂一気に村襲う」(朝日)、「2人死亡9人不明」「生まれて始めての豪雨」(毎日)、「台風21号死者・不明25人」「子供ら帰宅できず」「屋根残し土砂の海」(読売)
 この中でもやはり朝日新聞の「まるで湖 街沈む」が巧い。
 それにしても、基本的な数字は死者2人、行方不明者9人で各紙とも同じなのだが、読売新聞だけは「死者・行方不明者」を並べて全国での数字の25を持ってきて、ことさらに悲惨さを打ち出している。
 夕刊では、「三重の死者計5人に」「泥の海 捜索阻む」(中日)、「3遺体発見、死者5人に」「倒木・巨石散乱」「村に土砂の『つめ跡』」(朝日)、「不明者の捜索続く」「つめ跡くっきり」(毎日)
 朝日新聞ばかり肩を持つわけではないが、ここでも「倒木・巨石散乱」が一番いい。
 10月1日になって各紙ともトーンダウンする。台風が過ぎてしまったのでしかたない。それでも中日新聞は地元紙ということもあってがんばっている。
「三重の死者7人に」「国道寸断胸まで泥水」「コンクリ壁一気に崩壊」(中日)、「三重の死者、7人に」「宮川村、米・水備蓄せず」(朝日)、「三重 死者7人に」(毎日)
 みんな同じ見出しだったが、中日、毎日は一面、朝日は社会面だった。