万博、心配

 昨夜のニュースで、「愛知万博の水受けボールに子どもたちの絵をのせる」というものがあった。万博協会はトイレの手洗いのボールを子どもたちの絵で色とりどりにするらしい。
 未来のある子どもたちの絵を展示することに異存はない。むしろ機会をとらえてどんどんと披露してゆくべきだろう。例えば自治体単位で行われる教育展や文化祭などで子どもの絵を掲示しているところは多い。
 それでもこの万博での企画はいかがなものか。世界博なんだよ「万博」って、公民館でやる展示会ではないのだよ。力作といっても所詮子どもの絵であり、拙さは如何ともしがたいし、手洗いボールのデザインとしてもいただけない。
 本来、万縛などというものはクオリティが抜群に高いイベントだと思っている。洗練された会場で洗練された展示、イベントが行われてこそ、万博を訪れた青少年は未来に夢を抱けるのである。
 なんでそんな夢の会場で、自分と同年代の書いた芸術ですらない落書きを手洗いに行くたびに見せつけられなければいけないのだろうか。こういった企画に国際博覧会協会のセンスのなさを垣間見てしまう。
 9月9日に名古屋で「万博フォーラム」が開催される。基調講演が登山家の田部井淳子氏だそうだ。パネルディスカッションは、熊岡路矢氏、佐々木高明氏、徳川義宣氏、星野知子氏、司会は渡辺斉氏である。なんとも地味な布陣で、これで客が入るんかいなと、いらぬ心配をしたくなる。この人選を見ても、協会のセンスを疑わざるをえない。開幕まで残り7ヶ月と8日である。もう直前と言っていい。この時期にこんなPR活動でいいのだろうか。

 34年前の大阪万博の風景は未だに中年万博小僧の脳裏に焼き付いている。愛知万博が現代の子どもたちにとって夢の博覧会になってくれることを祈っている。