過去との邂逅

 書棚の引出しの奥から珍しいものが見つかった。シルバーに輝くメダルのキーホルダーである。丸いメダルには「人類の進歩と調和」「日本万国博覧会」と書かれ、中央にはシンボルマークの桜のマークが刻んである。裏には地球と日本列島が描かれており、その周囲に日付が刻印してある。「1970・6・26」となっていた。このキーホルダーは34年もの間、3度の引越しを引出しの奥で耐えてきたのだ。
 このキーホルダーは、会場中央のシンボルゾーンのエキスポタワー近くで刻印したような思い出がある。今ではこのキーホルダーと「日本万国博覧会公式ガイド」の二つが手元にある大阪万博の記念品である。もっといろいろなものを持っていたはずなのだが、みんな過去に忘れてきてしまった……。
 で、寂しかったので、この間、上京した折に、上野池之端にあるアンティークショップ「EXPO」へ寄ってきた。上野動物園西の言問通りから一本南へ入ったところの閑静な住宅街のなかにある面白い店だ。
 そこで過去をいくつか見つけ出した。「迷子ワッペン」である。それに「小人の入場チケット」(もちろん使用済み)、「オーストラリア館のパンフレット」、「象牙海岸共和国のリーフレット」などなどである。
 過去に会うというのはとても楽しい。また上京したら上野池之端の散策にでかけることにしようっと。