万国の何を博覧するのかねぇ

 最近、30年前の万国博覧会のことを思い出す機会が何度かあった。
ひとつは朝日新聞の記事だった。上野忍池之端にあるアンティークショップ「EXPO」が紹介されており、大阪万博のグッズを取り扱っている唯一の店ということで、すぐにでも上京したかったが、時間的にも予算的にも許されず、取り敢えずあきらめた。
 もうひとつは梅棹忠夫の「情報管理論」という本だった。この本は研究者や知的生産に関わる技術者向けに編まれた本で、種々の紀要や評論に掲載された梅棹の文章を中心に構成されている。その中であの万博に触れているフレーズがあった。「1970年の春から夏にかけて、大阪の北の郊外、吹田の千里丘陵において、日本万国博覧会が開催された」というたったこれだけの文章だったが、当時、万博小僧だった私の琴線には触れるのである。
 あの頃、万博は大評判だった。田舎の書店にも万博関連の書籍が1コーナー設けてあった。子どもたちは万博を通じて、万博の宣伝、書籍を通じて未来を夢見ていたのである。その夢が素晴らしかった。だから未だに記憶しているのだ。
 さて愛知万博。やるのかやらないのか、今一歩、盛り上がりに欠けている。時代に夢はないし、似たような展示会はそれこそ全国津々浦々でやってしまった。目新しさがなければ、今の子どもたちの記憶には残らないぞ。
 今時、流行遅れの万博などという代物に飛びついた愛知県のお手並みを拝見しよう。絶対に大阪万博のような成功はしないと思うけどね。