大人去る

 昨日、朝のニュース番組から一人のジャーナリストが去っていった。
 彼は最近のジャーナリストにはない切れ味と真面目さを併せ持つ貴重な人材だったのだが、阿呆な番組関係者の智恵の足りない判断から降板となった。わたしが番組プロデューサーなら絶対にそのジャーナリスト「日垣隆」を降ろしたりはしない。上昇気流にのっている文化人を手放すバカがどこにいるか!1年も待たずして彼はテレビに復活すると思っている。辛口だが正鵠を射た彼の批評は、やがてワイズな人々に受け入れられてゆくからである。反対に、彼を放出してしまった「ウオッチ」は早晩打ちきりになると確信している。その理由を言う。
 露木茂さんがメインでやっていた「おはよう!グッディ」のころは、少なくともニュース番組のようだった。それが「ウオッチ」になって、それでもニュース番組としての体裁を保っていたのだが、ラサール石井城戸真亜子森田正光が加わってきてからおかしくなってきた。この改変で「ウオッチ」はバラエティになった。放送時間を3時間に拡大してみたところで、スポーツと天気予報ばかりでは辟易としてしまう。とくに問題だったのはラサール編集長の「新聞棒読みコーナー」だった。朝である。爽やかな気分にひたりたいときに、だみ声でつっかえつっかえ新聞を読まれてごらんなさいよ。仕事に行きたくなくなっちまう。それでも剃刀のような日垣コメントが聞きたくて午前5時30分からテレビにしがみついていたのだが(他の日は別の番組を観ていました)、これで「だみ声ウオッチ」と縁が切れるかと思うと実はほっとしています。
 昨日の番組の最後で土井アナウンサーが口をきった。
「さて、そして、昨年からおつきあいをいただきました日垣さん、今日で最後となってしまいましたが・・・」
 土井さんの表情はかなり硬い。なにかあるのかなぁと詮索したくなってしまうが、日垣さん、さりげなくこれを受けて、やわらかい笑顔で話しはじめた。
「まぁ、朝、打ち合わせをするのは4時くらいからで、一回も遅刻しないでよかったなと・・・まぁ、ぼくら(コメンテーター)は一週間に一遍でいいんですけどね、毎日の方たちは本当に大変だと思いますね。頑張っていただきたいと思います」
 さすが日垣大人、見事な有終の美だった。
 あ〜ぁこれで心置きなくメーテレの「どですか」を見ることが出きる。ありがたい。