遅れ馳せながら「ライオンキング」

 昨夜のミュージックフェア劇団四季特集をやっていた。ライオンキングの「サークル・オブ・ライフ」ではじまり、「美女と野獣」、「オペラ座の怪人」、「メモリー」、「スーパースター」などを四季メンバーが熱唱した。
 番組の中で、メンバーが「ライオンキングは3600回を数えた」と言い、「リピーターが多い」とも言った。
「ええっ!ほんまかいな」と、思わずテレビに反応していた。
 実は「ライオンキング」を観にいったのだが、全然おもしろくなかったのだ。
 娯楽としては、洗練されているのだろうが、子供向けのこけおどしマスクミュージカルを長々と見せられた、という印象なのである。物語で見せる、あるいはシナリオで見せるといった類のものではなく、単に奇抜な衣装を物量で見せつけただけのもので、あの程度のケレンはすでに猿之助で堪能しているし、物語はディズニーが、手塚作品の「ジャングル大帝」からぱくったものだから新鮮味はない。
 それに役者たちのかぶっているマスクがアニメのキャラ丸写しで、それを顔の上に載せているから、キャラの顔と人間の顔が二つあって混乱する。いっそのこと純粋なマスクミュージカルにして人間の顔を排除してしまえばすっきりするのだ。元々の製作者に妙なこだわりがあるんだろう、イノシシの背中には人間の顔がタケノコのように生えているし、ミーアキャット(イタチだと思っていた)の後には背後霊のような人間がくっついている。どうしてそうしなければならないのか、理解できない。
 会場を埋め尽くした観客は、ケレンづくしの3時間に拍手喝さいをおくっていたが、私はげっぷが止まらなかった。
 劇団四季の限界を見たね。ディズニー製の大雑把なガキンチョミュージカルを焼きなおして、日本で演じると言うのはいかにも安直で、ミーハーおばはんには受けるかもしれないが、本物の観客には飽きられるのではないか。まぁ営業的には成功しているようだからいいんだろうけど、「オペラ座の怪人」や「李香蘭」のような大人のミュージカルをやってちょうだい、浅利さん。
 でもMフェアは楽しかった。来週も見ようっと。