外道:真理にそむくもの、または災難をもたらすもの

 外道が蔓延している。
 強盗殺人で18年くらった外道が仮釈放中に再び強盗殺人を犯し死刑判決を受けた。人間は本来性悪である、ということを証明したような事件だった。
それにしても人一人殺して無期懲役(18年)ではいかにも刑が軽い。少なくとも30年、40年という自分の人生を捨てなければ人など殺せないのだ、ということを性悪な外道に知らしめなければ犯罪は減らない。この被告、21歳で強盗殺人をして39歳で仮釈放されている。39歳ならまだ充分に人生をやりなおせる。そう考えれば殺人のリスクはさほど大きくない。30年くらったらどうか。51歳である。人生一番の活動期を鉄格子のなかで生きるのである。これはかなりプレッシャーになる。それでもまだ51歳、人生を取り戻すことは可能だ。40年くらうと61歳、還暦を過ぎてしまう。このリスクは大きい。いかにバカで外道でも、自分の人生40年と強盗殺人をして得る対価を比較すれば、採算があわないということぐらいのソロバンは弾けるだろう。
 中川経済産業相国民年金を払っていなかった。
「いいかげんにしろよ!」と言いたいところだが、仕方がない。だって中川大臣は金持ちなのである。別段、老後を年金に頼らなくても、悠悠自適、死ぬまで贅沢をしたって金はあり余るほどある。それは麻生太郎石破茂でも同じだ。基本的に金持ちは年金など当てにしていないのである。
 おまけに中川大臣、偽装牛肉事件の容疑者の企業にパーティー券を購入させていたという。やりたい放題だね。
 与話情浮名横櫛(お富さん)の源氏店の場に「蝙蝠の安五郎」というチンピラ外道が出てくる。お富さんから小金をゆすろうという悪党である。平成13年に御園座で、歌舞伎の名脇役坂東吉弥さんがこの役を演じた。ダンディで色男だった吉弥さんが、見事にチンケで情けない「蝙蝠安」になりきっており、主役の与三郎(菊五郎)の演技を完全に食っていた。
 吉弥さんの訃報が上記二つの記事に押えつけられるようにして今朝の社会面に載っていた。これからいい味をだしてくる矢先だったのに、惜しい名脇役を亡くした。
 よき人は去り、外道はびこるか・・・