ダグワドルジ、モンゴルの首相特別顧問に任命される

 いいのかなぁ、引退した後ならK1で負けようと、バンジージャンプをしようと、それは個々の自由なのだが、朝青龍は、横綱なのである。日本国技の代表であり、まず日本人のファンから、尊敬を集めなければいけない立場なのではないか。
 私が、朝青龍のことを知ったのは、彼が序二段で優勝した時のことだった。まだ髷が結えず、総髪で、鑿で刻んだような切れ長の目が印象的で、「この男は強くなるな」と直感した。こんな若者が出てくるのなら、大相撲はまた面白くなる、そう思って、遠のいていたテレビ桟敷にもどったのである。
 大相撲の魅力となるはずだった若者は、今や角界の頂点に立ち、最強の国技伝承者になって、突然、日本に背を向けた。
 かれは、かつての外国人力士のように、日本に帰化すまい。それは心技体のうち、技と体だけ日本にきて相撲をとっている。心は依然としてモンゴルの草原をさまよっている。これじゃあだめだ。
 かたやモンゴルから相撲界に飛び込んできた先駆者の旭鷲山は、早稲田大学の入学式の中にいた。通信制の学生になるのだという。若者たちに混じって羽織袴で列席している関取はかわいいくらい緊張していた。少なくともその行動からは、日本をなんとか理解したい、日本と融和したい、というような、健気さがうかがえる。
 朝青龍よ、モンゴルの先輩を見習え。政府の要職も、「今は、相撲道に専念すべき時であるので辞退をしたい。いずれ時がくれば、モンゴルのために粉骨砕身してお役に立ちたい」くらいのことは言えよ。そうすることが、日蒙友好の掛け橋となれるのではないか。
(ちょっと朝青龍の話が多すぎますね。反省)