私はオペラというものに造詣がない。どちらかといえば美空ひばりや石川さゆりのほうがいい。それでも先日、森麻季という声楽家の歌声を聴いた時には感動したね。
彼女は、この2月にCDデビューしたばかりである。その声は「カッティングがほどこされたクリスタルが放つ、上質で繊細な光のように清らかな声」なんだそうだが、よく分からない表現だね。それはさておき森嬢の、乾杯の歌(歌劇「椿姫」)を聴いたわけだが、その歌唱レベルはかなり高い。出川似の錦織健とともに歌っていたが、ブレスの音など微塵もきかせないし、いつ呼吸しているのかさえ悟らせない。これが本物のプロである。
以前にも書いたが(くどいけど)平原綾香や一青窈は歌唱力がない。口先だけで歌っているから、恐ろしいほどのブレス音がマイクに拾われてしまう。曲もルックスもまあまあなんだから、発声練習を基礎からやりなおせばいい歌い手になると思うのだが、周囲の人は誰も注意してあげないのかね。
「声楽家と比べては、彼女たちがかわいそうだ」そりゃそうだ。
大塚愛が「甘えんぼ」という曲を歌っている。彼女には苦しくなるようなブレスがないだけよかった。とくに平原の後に聴いたので、生きかえる思いがした。
平原も一青もそうなのだが、自分に歌唱力があると思いこんでいるふしがある。そこが問題なのだ。芸で身を立てる者は「天水桶のぼうふら」にならないよう、常に客観的に自分の実力を見極める努力をする必要がある。歌って投銭もらっているんだからね。