紅梅たより

 梅は咲いたか、桜は未だかいな トテチンチン
 公園のかたすみで紅梅が鮮やかに咲いている。もちろん桜は未だだが、春は着実に近づいている。
 昨日のこと、駅前の歩道で埴輪ルックの女子高生が、やおらジャージを脱ぎ始めた。どきっとしまっせ。パンツなんか丸出しで、確かに程度の低い学校の生徒だったが「こいつら頭大丈夫かいな。梅咲いてないだろうな」と思ってしまう。羞恥心とか公衆道徳といったものが完全に欠落している。
 こんなこともあった。電車に若い女(十代後半)が、二人乗り込んできた。車内はちょうど座席がうまるくらいに混んでいる。女二人は隅の席に座ると、突然、高らかに歌を歌い始めた。私は静かに読書中だったが、ひっくり返りそうになるほど驚いた。えっ、電車の中で放歌していいの。それもヘタクソなんだな、これが。
 ここはどこの国なんだろうか。かつて日本に進駐したアメリカ兵に「これほど慎み深い国民を見たことがない」と、言わしめた人々はどこへ行ってしまったのだろうか。
 断定はできない。が、教育の世界にはびこっている個性尊重、ゆとり教育、自由平等などの思想や、校長以下の教師のレベル低下に、この少女たちを生み出している状況の一因は確実にある。
 梅といえば天神、天神様は学問の神であらせられるぞ。現代の学問をつかさどる文部科学省の秀才クンたちよ、今まさに教育の根幹を考え直す時期にきていることを実感しているか。梅酒に酔って寝ている場合ではないぞ。寝ていると道真公の天罰がくだるぞよ。

〈追申〉
 日本青少年研究所がまとめた「高校生の生活と意識に関する調査」によれば、日本の高校生のほうがアメリカ、中国、韓国よりも公共マナーの意識が高いという結果がでているそうだ。しかしジャージ脱ぎ娘やコーラス娘を見る限り、にわかには信じがたい。それに文化・習慣の違う国と比較しても意味がない。国内でマナーがどう変化してきたのかということのほうが重要である。