日曜に傍楽(はたらく)

 朝日新聞の朝刊が届いたのでくつろげて読む。相変わらず「日曜に想う」が目のつくところに載っている。最近は、ナチスの旗を捏造して失脚したパリ在住の冨永格特別編集委員が登場しないので笑えなくなった(笑)。
「パリの、淡い夏が近い。マロニエの若葉が風にきらめき……こんにちは、細川俊之です。間違えた冨永格です」
 今の筆者は、特別が取れて福島申二編集委員。冨永氏と比べるとずいぶん臭みが抜けて読みやすくなった。
 今日はインドの文学者タゴールから筆を起こしている。知っている人は知っているのだろうが、あまり親しみがない。インド国歌の作詞者、あるいは岡倉天心と交友があり、日本にも何度か訪問をしていた、くらいしか知らない。
 このタゴールの初来日から今年で100年になるんだとさ。編集委員、よく見つけてきたな。ここでタゴールの「人間の歴史は、侮辱された人間が勝利する日を、辛抱づよく待っている」という箴言を引く。そして朝日お得意の「マイノリティー論」に誘導していく。
 次に顔を出すのが、アメリカのハリエット・タブマンという女性である。今度、ドル紙幣の肖像になるそうだ。この人です。
http://www.afpbb.com/articles/-/3084703
 奴隷解放運動の活動家である。この米国人とタゴールをマイノリティーというキーワードで括ろうとしているな、というのが前半で見えてくる。
 3人目は、誰もが知っているボクシングのスーパースターモハメッド・アリである。例の金メダルを川に捨てたエピソードを引用して、そこから思い出したとして、オバマ大統領の発言の「つい60年ほど前はレストランで食事さえさせてもらえなかったかもしれぬ父を持つ男がいま、あなたがたの前に立っている」を強引に手繰ってくる。
 その結論が「いつの歴史をみても、正しさはマイノリティー(少数者)の勇気あるチャレンジから始まっている」である。な〜んだ、また社民党などの少数野党への応援コラムだったのね〜。
残念ながら、コラム氏の言うことは間違っている。一言で決めつければ、ナチス党だって最初はマイノリティーであった。ごく少数の人間が政権を獲得するためにチャレンジをした結果があれである。単純に一まとめにして「想う」んじゃないよ。

 上の行から、ここまでの間に2時間が経過している。何をしていたのかというと、朝7時から町内の一斉清掃があったのだ。ワシャのところは20軒に満たない小さな組なので側溝の掃除といっても多寡が知れている。でも、側溝の蓋が重いのでこれをはずすのが一苦労なのである。これがワシャと4軒むこうの3年前に教師を退職した人の仕事になる。あとは高齢者ばかりなので、隣組の中ではワシャらは若手と言われている(笑)。
 そんなわけで、7時前からついさっきまで側溝の蓋をはずし、またはめていたのじゃ。
 2時間経過してしまうと、冒頭の「日曜に想う」を引っ張り出してきて何を言いたかったのかぼけてきている。「スパー!」と斬るつもりが、「スカー!」くらいになるかもしれない。

 続ける。
 少数意見を取り上げるか?については百田尚樹さんがこんなことを書いている。
《得票率2パーセントの意見というのは、はたして少数意見なのだろうか。たとえば中学校のクラスに五〇人いたら、2%というのは、そのうちのたった一人である。みなさんも中学校時代を思い返してもらいたいのだが、いつの時代でも五〇人に一人くらいむちゃくちゃな意見を言うバカがいたはずだ。他の四九人がうんざりして、「また、こいつがむちゃくちゃ言い出した」という存在だ。》
 そしてこう言う。
《98パーセントが「納得できない」という意見は、切り捨てていい意見だと思う。》
ちなみに党首に普通の人がなった社民党の得票率が2パーセント前後でしたよね。

 朝日新聞編集委員の一方的な「マイノリティー正義論」に対して、日曜の朝から(労働をはさんで)想った。