歌舞伎の明日

 3月27日、五代目の歌舞伎座で開場式が行なわれた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130328-00000013-sph-ent
 銀座でのお練も盛況だったようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130327-00000009-ykf-ent
 取り合えず歌舞伎ファンとしてはホッとしている。

 歌舞伎界はここ2〜3年、名優が立て続けに彼岸に去ってしまうという悲劇に見舞われた。その上に名古屋の歌舞伎の殿堂である御園座の閉館である。ネガティブな話題ばかりで気が滅入る。そんな時に、海老蔵丈に男子誕生のニュースが飛び込み、久々の明るい話題となった。
 そして、五代目歌舞伎座のオープンである。ようやく陽が昇る、そんな思いである。
 さて、御園座の閉館のことである。もちろん歌舞伎ファンとしては惜しまれる。それでもこのことも前向きに捉えていきたい。五代目歌舞伎座と同様に、新生御園座にいつの日か逢えることを期待していこう。

 先週の土曜日、御園座夜の公演に友だちと行ってきた。そのおりに地下にある名物おでん屋の「清富」も覗いてきた。存在は知っていたが、結局、一度も行かなかったなぁ。言い訳をすれば、歌舞伎を観にいって、途中でおでん屋には入れなかったのである。ワシャがおでん屋に入ってごらんなさいよ。おでんだけいただいて済むと思いますか?必ずお酒をいただきますから(笑)。それも十分いいただくので、その後の公演が観られないということになる。
 だから、歌舞伎のときは必ず観終わってからお酒をいただくというルールを、自分自身に科した。ゆえに「清富」さんとはご縁がなかったというわけ。行っておけばよかった……今さらながらに思うが、過ぎてしまったものはどうしようもない。
 ちょいと暖簾の間から店の中を垣間見たけれど、高齢の女性が一人、おでんで熱燗を傾けていた。格好いいなぁ。
「清富」のフロアのさらに下に、演劇図書館がある。もちろん友だちを誘って地下2階まで潜りましたがな。しかし、月・水・金のオープンなので、土曜日は閉館していた。閉まったガラスドア越しに、看板を見て良しとしたのだった。
 
 この演劇図書館のことである。歌舞伎関連の蔵書が2万9000冊あるというこの図書館は十二代目の団十郎丈が頻繁に利用していたことでも有名だ。名古屋における歌舞伎資料の豊富さでは、随一と言っていい。
 御園座は、稀覯本や番付、隈取などを残したいとして、名古屋市に働きかけをした。もちろんそうだろう。公共が地域の遺産を保存管理するのは当たり前だ。
ところが名古屋市は「市としては一時保管はしない、昭和以降の新しい物が多く、博物館の扱う範疇ではない」ということで断ったらしい。
 アホか!
 さすがパフォーマンス男の河村氏が市政を牛耳っているだけのことはある。芸どころ名古屋が泣いているぞ。六代目菊五郎や十二代目団十郎が手に取った可能性がある書籍、名優たちが残した隈取を「昭和以降の新しいもの」と決めつけるのは歌舞伎文化を知らないにもほどがある。これらの資料を散逸させることは、名古屋人の恥であろう。こんなことを許すならば「名古屋市の文化行政は極めて低レベル」と断ぜざるを得ない。

 ようやく歌舞伎界に明るい兆しが見えてきた。ここにきて、こういうくだらないことをやって水を注すのは止めてくれ。