きみは気概を持てるか

 一昨日、隣接市で読書会。課題図書は、佐藤優『帝国の時代をどう生きるか』(角川oneテーマ21)である。本の内容についてはさておく。それよりも参加者の議論のほうがおもしろかったのでそちらに触れる。
 政治にたずさわっている読書会のメンバーがいる。その彼を中心にした議論を記す。
「僕にもいろいろな欲がある。物欲もあるし性欲もある。金もほしいし、いい車にも乗りたい。でも、政治家になると我慢しなければいけない。強い権力をその手に握るのだから、できる限り謙虚に、できうる限り欲を捨ててかからないといいまちづくりはできない」
「現在の民主党政権のだらしなさはひどい。万年野党だった連中が突然お大臣様になり、ちやほやされるようになった。一旦、その境遇を味わってしまうとなかなかその立場を手放せない。その地位に留まるために必死になっている」
「位打ちをくらったわけやね」
司馬遼太郎がこんなことを言っている。ここに酒がある。これを飲みたいと思うのが欲望である。しかし、その酒に毒が入っていることが分かる。だからそれを飲まない、それは理性である。しかし、自分の名誉を守るためにその酒を干す。それは気概である。政治家たるもの、すべからくこの気概を持ちたいものである」
「残念ながら、現在の政治家たちにもっとも欠落しているのがこの気概である」

 気概のない話。
http://www.asahi.com/national/intro/NGY201207300043.html?id1=2&id2=cabcahdb
 ケチな朝日新聞デジタルでは途中までしか読ませてくれないので、朝日新聞を写す。まず見出し。
名古屋市議の車、当て逃げか 緑区の事故 減税・河合氏所有》
 本文。
《30日午後、名古屋市緑区で乗用車の当て逃げ事故があり、走り去ったスポーツカーの車種やナンバーから、名古屋市議会「減税日本ゴヤ」の河合優(まさる)市議(47)=同市緑区=の所有する車とみられることが、捜査関係者への取材でわかった。愛知県警は、道路交通法違反(不申告)の疑いで調べるとともに、河合市議から事情を聴く方針だ。捜査関係者によると、事故は30日午後2時40分ごろ、緑区黒沢台4丁目の国道302号で発生。女性が運転する乗用車と高給スポーツカー「ポルシェ」が接触し、ポルシェを運転していた男性が「当たっていないだろう」と言い残して、そのまま走り去ったという。河合市議は昨年12月、1泊2日の日程で東京都杉並区の劇場施設を公費で視察した際、議会に事前申告せずに知人女性を同行させていた。今年になって旅費は返還していた。減税日本は29日、河合市議を1ヶ月の党員資格停止処分とすることを決めた。》

 市議だからといって、ポルシェに乗るなとは言わない。しかし、減税日本のオーナーの河村ミャーミャーさんは「庶民革命」を標榜しているのではないのか。そもそもポルシェは金持ち・成金の象徴のような車で、彼たちが目指す「庶民革命」とは対極にあるものと言っていい。そういった物欲を排除し、毅然とした姿勢を有権者に見せるところから始めないと「庶民革命」など絵に描いた餅、夢のまた夢だわさ。
 その上に、この市議、公費視察にネーチャンを連れて行ったそうだ。どうしようもないな。ポンコツ議員としての悪い部分ばかりを備えている。
 ポンコツ市議、さらに前科がある。平成23年度の収支報告書で、政務調査費を使って漫画を4829円分購入していたことが判明した。これが経済水道委員会の資料だというから笑える。まあ、最近の漫画はレベルが高いからポンコツ議員の資料としては使えるのかもしれない。だったら「経済専門誌」などとウソをつくなよ。
 けっきょくは領収書の混同ということで謝罪している。前述の視察の旅費も、視察ではなくてネーチャンといいことをしただけだったので返還したんだとさ。あまいヤツだ。

 ポルシェ、女、漫画……この人物が、まだ欲望の段階にいることが明白にわかる。理性の段階すら到達していない。こんな市議が集まって「減税日本」で国を変えると言っているのだからお笑いだ。偉そうなことを吹聴する前に、まず、気概を持て!