奇貨居くべし

 鎌倉後期に無住一円(むじゅういちえん)という禅僧がいた。この人が説話集である「沙石集」を著している。この中にこんな言葉がある。
「万事人ノ心ヲ守(まぼり)テ、時ニヨリ機ニ随(したがう)ベシ」
 何事も、人の心によくよく注意をして、好時好機を逃さずやるべきことをやる、というようなことを言っている。
 人に恵まれ、場所に恵まれ、力を発揮する機会を得たならば、それが好時好機なのである。些末なことに拘泥せず、力を発揮すべきだと思うがいかがかな。