人間ドックは楽し?(つづき)

 気を取り直して検診だ。
 まずは、身長、体重の計測、179センチ、68キロ(ウソウソ)。血圧測定は正常値(よしよし)。
 この検査を受けている時に確認しておくことがある。ぼーっと検査を受けていてはいけないのだ。検査室の中央に広いフロアがあって、多いときには50〜60人くらいがここにごった返す。だから、受診者の受診表を見て、「次の検査はどこへ」と指示するさばき屋の看護婦が3〜5人対応することになる。このさばき屋の資質を短時間に見極めなければならない。
 血圧を計測しながらキョロキョロとさばき屋を見定める。眼光の鋭い人、テキパキと指示を出す人、常に歩き回り、検査室の前にある受診表ボックスの中身を確認している人、その人の指示した先に受診者が滞っていないことなどを確認して、その人のところへ受診表を持っていく。
「はい、次は心電図へ行ってください」
 その指示に従い、ワシャは小走りに心電図の受診表ボックスに突進するのだった。このさばき屋の選択で20分は違ってくるから恐ろしい。
 いいさばき屋を見つけたので、心電図、眼底検査、肺活量、聴力検査、胸部レントゲン、バリウム検査と順調に進む。それに、まだ、口開けだから客の数も少ない。だから、トットトットコ進んでいく。それでも、それぞれのところで若干の待ち時間があるから、その時は、懐の本が威力を発揮する。
 その後、内科診察。医者が2〜3分、胸に聴診器を当てて、腹部を触診して終わり。昔はここで一所懸命に体調の悪いところを説明していたのだが、かかりつけの医者だってワシャの症状を把握しきれていない。初対面の医者に2〜3分で、ワシャの不調が理解できるわけがない。そのことがわかって以来、時間の無駄なので何も相談しない。
 検尿して、血液採取して、これにて打ち止めと相成ったのが、午前9時、やったぁ、1時間で検査終了だ。めでたしめでたし。

 さて、今回の検診で、気になったところをいくつか指摘しておきたい。まず、T病院全体の方針だと思うが、受診者や患者を「様」付けで呼ぶ。そりゃぁ丁寧で結構だが、こちとら普通の平民だ。天子様でもあるめぇに、〇〇様なんて呼ばれるとさ、ついつい尻が痒くなっちまう。「さん」でいいじゃねえのかい。少なくともK総合病院では「さん」だわさ。そのほうが呼ばれる方も気持ちいい。
 そんなことより採血の後に貼る2センチ角の絆創膏、せっかく貼るなら端っこの耳の部分まで切っておけ。ちょうどワシャにその端っこが当たっちまったんだな。耳の部分には糊がないからベラベラして、うっとおしい。そういうところを丁寧に処理しておくのが本当のサービスだろう。名前に「様」「様」つければいいというものじゃないわい。
 それからスリッパだ。袋入りのスリッパは一度使えばゴミ箱行きになる。供用のスリッパじゃだめなのだろうか。きっと「人の履いたスリッパなんか汚くて履けるか」と言った受診者がいたんだろうね。ワシャからするともったいなくてさ。なんとかならないものだろうか。
 それから問診票が問題だ。
「最近、ひどい頭痛がありましたか?」この質問に「イエス」か「ノー」で答えなければならない。頭痛はあったが、あれはひどかったのかなぁ。それともひどくなかったのかなぁ。
「胸焼けがひんぱんにありましたか?」
 胸焼けはあったけれど、ひんぱんだったかなぁ。2〜3回だからひんぱんとはいわないのかな。
 どっちなのか、判断に困るような質問が何問かあって、だから、記載をしなかったら受付の人に「どちらかに必ず記入してください」と叱られてしまった。反論しようと思ったが、そんなことをしていると時間を取られてしまうのでやめた。
 でも、もう少し分かりやすい表現にしてほしい。

 以上、どうでもいい人間ドックの報告でした。