小泉純一郎講演(4)

(昨日の続き)
「平成元年に厚生労働大臣になった。その時、部下に『日本に100歳以上の老人は何人いるの?』と訊いた。『2000人程度です』という答えが返ってきた。それが今では40000人になっている。20倍に増えた。長生きする国ができた。すごいじゃないですか」 
 う〜む、確かに長寿国家にはなった。しかし、ただだらだらと生きることがいいことなのかは疑問だ。国民が長くよく生きてこそいい国だと思うが。
「戦後一番大変だったのは1973年の石油ショックだ。それ以前は原油価格1バーレルが2ドルくらいだった。それが一気に10ドルまで跳ね上がった。このためにインフレが起きた」
「この石油高騰で、石油依存度70%の日本は狂乱物価をまねきパニックに陥った」
 あの時のパニックは大変でしたね。知らない人も多いでしょ。1973年10月6日に第4次中東戦争が始まった。このために石油不安が高まる。買い占め騒動は11月2日に大阪千里ニュータウンの大丸ストアから火がつく。300人もの主婦が殺到しトイレットペーパーを奪い合った。これが全国に広がっていく。思い出せば、あの頃、我が家の廊下にはトイレットペーパーや洗剤が箱に入ってうず高く積まれていたっけ。あんなに買ってどうするんだと思っていた。
 おっと、小泉さんの話だった。
「石油高騰で日本のエネルギー政策の弱点が顕在化した。備蓄の準備、省エネルギーの推進、代替エネルギーの確保である」
「日本人の底力はすごい。必死に頑張って、石油ショック前70%だった依存度を40%にまで下げることができた」
終戦石油ショックなど、どん底からだって日本は這い上がってきた。マイナスをプラスに変えていく潜在的な力は日本人に備わっている。あまり悲観しない方がいい。こだわらない方がいい」
 オプティミストの小泉さんだから言えることだし、小泉さんにそう言われればやれそうな気がする。やはりリーダーは天性の楽天家でなければできないということか。「最小不幸社会」などと、ネガティブなことばかり口にする不甲斐ないリーダーのもとではこの国を立て直すことなど無理かも。
「お寿司、昔は外国人に人気がないと言われてきた。でも、今、日本のお寿司は世界のどこに行ってもある。生の魚は食わないといっていた外国人がこぞって寿司を食っている。グローバルな人気が定着した。可能性を否定するのではなく、やってみれば案外うまくいく」
 本当にこの人、国民を元気にする方法をよく知っている。市民会館に詰めかけた1200人の聴衆は徐々に高揚していくのだった。
(つづく)