日本人骨抜き計画 その1

 今朝、払暁のころ、新聞をとりに庭に出る。夜来の雨が上がっていた。庭がしっとりと濡れている。ポストに新聞とともに司馬遼太郎記念館会誌の『遼』が届いていた。早速、開いて中を確認する。今号には、第13回司馬遼太郎賞を受賞された宮本輝氏の受賞スピーチが載っていた。
 宮本さん、『坂の上の雲』を引き合いに出して、今の日本人が骨抜きになっていることを警告している。
 終戦後、欧米列強は、維新、日清・日露から太平洋戦争までの日本人の強靭さを痛感した。当時の世界の常識からすると明らかに異質な精神性を有した民族を怖れた。だからいろいろな手法を使って骨抜きにして、極東の研ぎ澄まされた日本刀をなまくらにしようと努力した。
 800年にわたって鍛えぬかれた神刀は、わずか65年で、帽子が折れ、錆が浮き、刃こぼれ、鞘くさり、これ以下はないだろうという愚刀に成り下がった。そのことを司馬遼太郎は警告し続けてきたし、そのことを受けて宮本さんも、あえて「日本人骨抜き計画」について話されたのだと思う。
(下に続く)