良かったんのぉ

 暮れの12月25日に、隣町の総合病院で人間ドックを受けた。その結果が、年明け早々に届いた。運動不足と飲酒についての指摘が記されているところは、いつもと同じだ。
 おや?いつもと違うところがあるぞ。「要精密検査」と書いてある。なんのこっちゃ。詳細に結果表を読むと、超音波エコーの検査で、胆嚢に異常が見つかったらしい。「筋腫の疑い」があるんだとさ。
 ガーン!
 今まで、長年、人間ドックを受けてきて、こんな指摘は始めてだった。「腫」って腫瘍の「腫」ですよね。「はれもの」とか「できもの」とか……。
 癌!
みたいなもののことですよね。
 気の小さいワシャはすぐに病院に電話しましたがな。そのあたりの経緯についてはこの日の日記に詳しく書いた。
http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=427365&log=20100129
 その後、2月3日にMRIの再検査があって、それから1ヵ月、どんよりした気持ちを引きずりつつ、検査の結果が出るのを待った。生きるとは、老いるとは、病とは、死とは……いろいろと考えさせられた1ヵ月だった。
 生老病死を考えるなら、梅谷薫『小説で読む生老病死』(医学書院)がお勧めです。
 昨日、結果が告知された。予定より早かった。以下、医師との会話。
「これをご覧ください」
 医師はプラスティック製の内臓モデルを示しながら
「ここに肝臓があります」
 パソコンを操って胴の断面映像をモニターに映し出す。
「ちょうど、この写真は、この方向から肝臓を見ています」
 シャープペンシルで、プラモの肝臓を指す。医師はマウスを操作しながら、
「だんだん胆嚢が見えてきます。あ、ほら、これこれ」
 とうれしそうだ。
「胆嚢というのは皮は薄いんですが……」
 胆嚢がモニターにあらわれて、徐々に大きくなっていく。
「ほら、ここ、ここを見てください」
 と言われても、よくわからないが……。
「ほら、ここですよ。なんだか皮が厚そうでしょ」
 そう言われてみれば、そんな気もしますが……。
「ここの皮が厚いんですよ。それがエコーで影となって映ったんですね」
 はぁ……。
「つまり、あなたの胆嚢の上部の皮は厚いということが判明しました」
 そうなんですか。
「面の皮の厚い人は多いですが、胆嚢の皮が厚い人は珍しい」
 結果としては、「よくわからないが、放置しておいても大丈夫でしょう」ということになった。とりあえず、「良かったんのう」ということで、仕事帰りに部下を誘って祝杯をあげたのだった。