日曜日なのに忙しい

 午前3時30分起床。暗闇の中、ワシャはごそごそと動き出し、書斎(物置ともいう)にもぐりこんで、パソコンのスイッチを入れた。画面の明りがぼーっと広がる。薄明かりの中でうずくまるようにしてキーボードをまさぐる黒い影、背中から蝙蝠のような羽が……ワシャ悪魔か!

 昨日、友人からちょいとした文案の起草を頼まれた。その期限が今日の正午なのだ。調べたり書いたり推敲したりの時間を逆算すると、この時間から起き出して日記を書き始めないと間に合いそうにない。まだ昨夜の楽しいお酒が少し頭に残っているが――その余韻にひたっていたいのだが――、ここは眠い目をこすりながら頑張るとするか。ワシャはなんて友情に篤いやつだろう(自画自賛)。

 昨日、プチ読書会をした。課題図書は、浅田次郎の短編集の『鉄道員』。その中に「悪魔」という作品がある。そこに登場する悪魔の解釈で結論が出ていなかったので少しだけ触れたい。
 悪魔は家庭教師の蔭山に取り憑いていた。「僕」の屋敷に入り込むための依代(よりしろ)にしていたのだ。それはP116の12行目の《蔭山は折り畳んでいた長身をからくりのように引き伸ばして……》の「からくり」というところがポイントである。「僕」の足元に額をこすりつける蔭山には、もう悪魔性はない。彼は悪魔のからくりの人形でしかなかった。しかしてその実体はというと「化け鼠」ということにならざるを得ない。
 関係のない方にはなんのことだか解らないかもしれませんが、『鉄道員(ぽっぽや)』(集英社)にはこの「悪魔」を含めいい短編が入っていますので、未読の方にはお薦めします。初版から12年が経っていますのでブックオフで安価に入手できますぞ。
 おおお、夜が明けた。日の光を浴びると体が溶ける溶ける……わけはありません。
 おっと、そろそろ調べ物を始めなければいけない。昼までにその作業が終わればまた登場するかもしれません。ではよい日曜日をお過ごしください。
(下に続く)